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缶チューハイ「氷結」のあの凹凸のある缶を開発した人が、東洋製罐グループのトップに立っていました。
大塚一男さんという名前は、あまり表に出てきません。容器メーカーは黒子の立場だからです。
それでも缶で国内シェア4割という会社を率いてきた経歴は、知ればなかなか濃いものがあります。
この記事では、大塚一男さんの経歴と東洋製罐という会社について整理していきます。
目次
大塚一男は東洋製罐を率いた技術者出身の経営者
まずは、どんな経歴をたどってきた人なのかを見ていきましょう。
- 秋田県出身の工学部卒
- 「氷結」の凹凸缶を生んだ技術者
- 工場長から社長へ
- 2025年に会長へ退いた
- 同名の弁護士とは別人
秋田県出身の工学部卒
大塚一男(おおつか かずお)さんは、1959年11月24日生まれ。秋田県の出身です。
慶應義塾大学の工学部機械工学科を1983年に卒業し、同じ年に東洋製罐へ入社しました。
先に、経歴を一覧にしておきます。
| 生まれ | 1959年11月24日・秋田県出身 |
| 学歴 | 慶應義塾大学 工学部機械工学科(1983年卒業) |
| 入社 | 1983年 東洋製罐 |
| 2005年 | 広島工場長 |
| 2013年 | 執行役員 |
| 2015年 | 常務執行役員 |
| 2016年 | 東洋製罐 社長 |
| 2018年 | 東洋製罐グループホールディングス 社長 |
| 2025年6月20日 | 取締役会長(グループサステナビリティ委員長を兼務) |
学部が文系ではなく工学部の機械工学科というところが、この人の経歴を決めています。
缶をつくる仕事は、金属の板を高速で正確に成形し続ける仕事です。素材の限界と、機械の精度と、コストのせめぎ合いの中で答えを出していくことになります。
機械工学はまさにその真ん中にある分野です。学生時代に学んだことが、そのまま職場の課題につながる進路だったといえます。
営業や企画から上がってきた経営者ではなく、ものづくりの現場から出てきた人です。
「氷結」の凹凸缶を生んだ技術者
大塚一男さんを語るとき、いちばん分かりやすいのがこの一点でしょう。
缶チューハイ「氷結」の、あの表面に凹凸のある缶を開発した技術者だと紹介されています。
手に取ったことがある方なら、握ったときのボコボコした感触を思い出せるはずです。
飲料の缶は中身を守るために強度が要りますが、同時に軽く薄くしたいという要求もあります。缶は薄くするほど材料が減り、輸送も軽くなるからです。
ただし薄くすれば、当然ながら握ったときにへこみやすくなります。ここが容器づくりの難しいところですね。
そこで出てくるのが、表面に凹凸を付けて剛性を稼ぐという発想です。平らな板より、折り目や凹凸のある板のほうが変形しにくいという、身近なところでも起きている現象を缶に持ち込んだ形になります。
そして結果として、手に持ったときの独特の感触が生まれました。技術的な解決策が、そのまま商品の顔になったわけです。
テレビ東京の番組では「伝説の技術者」と紹介されています。
番組側の表現ではありますが、容器の世界でそう呼ばれるだけの仕事をした人だということですね。見た目の個性としても機能としても効いている、珍しい成功例だといえます。
工場長から社長へ
入社から社長就任までの道のりも、技術者らしい積み上げ方でした。
2005年に広島工場長を務め、2013年に執行役員、2015年に常務執行役員と進みます。
そして2016年に東洋製罐の社長へ就任しました。
入社から33年後のことです。さらに2018年には、グループ全体を統括する東洋製罐グループホールディングスの社長になっています。
工場長というのは、製造ラインと人員と品質のすべてを預かる立場です。数字を眺めて指示を出すのではなく、現場で何が起きているかを直接見る仕事だといえます。
そこを通ってきた人が経営のトップに立つと、判断の土台が変わります。工場の現場を預かる立場から、グループ全体の経営を担う立場へ。途中で外部から招かれたわけではなく、一貫して社内で上がってきた人です。
本人は「イノベーションは容器から始まる」という言葉を掲げています。技術畑を歩いてきた人ならではの表現でしょう。
2025年に会長へ退いた
社長の座は、すでに次の世代へ渡っています。
2025年6月20日付で大塚一男さんは取締役会長となり、社長には中村琢司さんが昇格しました。
現在の肩書きは取締役会長で、グループサステナビリティ委員長を兼務しています。
容器メーカーにとって、環境への対応は付け足しの活動ではありません。使い終わった容器がどうなるかという話は、そのまま本業の話だからです。
その領域を会長が直接見る体制になっているところに、この会社の姿勢が表れているといえます。
後任の中村琢司さんは1963年12月27日生まれ、愛媛県の出身です。愛媛大学大学院の理学研究科修士課程を修了し、1988年に東洋鋼鈑へ入社しました。
こちらも技術畑の人で、東洋製罐グループホールディングスでは最高技術責任者も担っています。技術者がトップを務める体制が続いていることになりますね。
同名の弁護士とは別人
検索するときに気をつけたい点があります。
大塚一男という名前の弁護士がいて、こちらは別の人物です。
検索結果には出版社の著者ページが混ざってくることがありますが、そちらは法曹界で知られた同姓同名の方のものです。
東洋製罐の大塚一男さんは技術者出身の経営者で、弁護士ではありません。「大塚一男 東洋製罐」で調べると混ざりにくくなります。
大塚一男が率いた東洋製罐はどんな会社か
ここからは、会社そのものについて見ていきます。
- 缶で国内シェア4割の黒子企業
- 売上は過去最高の9600億円超
- 容器の技術を医療分野へ
- カンブリア宮殿で語られること
- 大塚一男と東洋製罐についてまとめ
缶で国内シェア4割の黒子企業
東洋製罐グループは、缶やペットボトル、食品容器をつくっている会社です。
国内シェアは缶でおよそ40%、ペットボトルでおよそ30%とされています。
つまりコンビニやスーパーで手に取る容器の多くが、この会社の製品だということになります。
ビールの缶、お茶のペットボトル、レトルト食品の袋。棚に並んでいるものを片っ端から手に取れば、かなりの確率で当たるという計算になりますね。
それでも社名を意識することはほとんどありません。容器には中身のメーカーの名前が印刷されていて、つくった会社の名前は表に出ないからです。
こういう会社を黒子企業と呼びます。名前は知られていないのに、生活のあらゆる場面に入り込んでいる存在ですね。大塚一男さんの知名度が低いのも、同じ理由によるものでしょう。
売上は過去最高の9600億円超
規模の面でも、かなりの大きさがあります。
前年の売上は過去最高となる9600億円を突破したとされています。
1兆円が目前という水準です。容器という地味な分野で、これだけの事業が成り立っているわけですね。
シェアが高いということは、飲料や食品のメーカーがこの会社を頼りにしているということでもあります。中身をつくる会社が新商品を出すとき、容器の側にも新しい要求が生まれます。
あの形にしたい、この量を入れたい、開けやすくしたい。無茶にも聞こえる注文が持ち込まれ、それを形にしてきた積み重ねが売上の数字になっているわけです。
「世界初」を連発してきたと言われるのは、その要求に応え続けてきたからでしょう。
容器の技術を医療分野へ
近年は、容器づくりで培った技術を別の分野へ広げています。そのひとつが医療分野です。
容器の技術は、中身を守り、汚染を防ぎ、必要な量だけ正確に取り出せるようにするものです。この考え方は医薬品や医療機器の世界とそのまま重なります。
飲料の缶をつくってきた会社が医療へ進むというのは、一見すると飛躍に見えます。ただ「中身を守る技術」という軸で見れば、まっすぐな延長線上にある展開です。
むしろ医療の分野のほうが、求められる精度は厳しくなります。わずかな不純物の混入も許されず、量の誤差も許されないからです。
飲料や食品で積み上げてきた品質管理の水準が、そこで試されることになります。長年つくり続けてきた会社にしかできない挑戦だといえるでしょう。
大塚一男さんが語ってきた環境問題やフードロス、栄養課題への取り組みも、同じ軸から出てきたものだといえます。
カンブリア宮殿で語られること
大塚一男さんは、テレビ東京の「カンブリア宮殿」に出演します。
放送は2026年8月13日の23時06分から23時55分までです。
MCは金原ひとみさんとヒャダインさん。回のタイトルは「その『容器』の裏に技術あり『世界初』を連発!黒子企業の秘密」となっています。
肩書きは東洋製罐グループホールディングス会長として紹介され、「氷結」用缶を開発した経歴も取り上げられる内容です。
普段は名前が出ない立場の人が、まとまった時間をかけて語る機会はそう多くありません。容器という身近すぎて意識しないものの裏側を知る回になりそうです。
大塚一男と東洋製罐についてまとめ
大塚一男さんについて、要点を整理しておきます。
- 1959年11月24日生まれ、秋田県出身
- 慶應義塾大学工学部機械工学科を1983年に卒業し、同年に東洋製罐へ入社
- 缶チューハイ「氷結」の凹凸のある缶を開発した技術者だと紹介されている
- 2005年に広島工場長、2016年に東洋製罐社長、2018年にグループホールディングス社長
- 2025年6月20日付で取締役会長。後任社長は中村琢司さん
- 東洋製罐グループは缶で国内シェア約40%、ペットボトルで約30%
- 前年の売上は過去最高の9600億円超とされる
- 2026年8月13日放送のカンブリア宮殿に出演
- 同姓同名の弁護士とは別人
名前を知られないことを前提にした業界で、生活のいちばん近いところを支えてきた人です。
手に持った缶の感触に理由があると知ると、次にコンビニへ寄ったとき少し見え方が変わるかもしれません。

